『メーフ』出演者インタビュー 矢田未来さん
富岡演劇祭での『メーフ』の上演を終えた出演者のおふたりに、劇団員の西村花織がインタビューさせていただきました!
今回、劇団しようよに初めて出演してくださった、矢田未来さん (KAKUTA)。
叔父さんである34歳の「ボク」の役を演じていただいています。
実は今回の作品以前からご縁があった矢田さんとのエピソードや、矢田さんのこれまでの活動のお話をお伺いしました。
富岡演劇祭『メーフ』公演終了後、福島にて
-富岡演演劇祭お疲れ様でした!それでは改めまして、今日はいろいろ伺いたいなと思います。どうぞよろしくお願いします。
よろしくお願いします~!
-まず最初の質問ですが…今回の福島での公演はいかがでしたか?
そうですね、私は大原さんと一緒にお芝居を作ったのが今回初めてだったんですが、少しずつその場で、私たちが稽古をしていく上で、どんどん芝居が変わっていったっていう感じがありまして。
―というと?
例えば台本も、やってみた感じで変えてみるっていうこともあったり。前回やった稽古をそのままなぞることがなくて。「やったら変えてみる」の繰り返し、みたいな。常にこう…動きながら作っていったな~っていう感じがあったんですよね。
―同じものを何回も繰り返して、というより、どんどん新しいアイデアを試していく方向の稽古だったんですね。
そうだったんです。
富岡演劇祭の劇場に入ったあとの、最後の調整をしている中でもどんどん変わっていった感じっていうのが…なんて言ったらんでしょう、すごくこう、「生きている」っていう感じがあって。変になぞらない、っていう。言葉を選ばずに言うと「飽きない」。自分もずっと考え続けるっていう時間で。
やっぱり、だいたい本番でお客さんが入って初めて「うわー!」って感じる部分があるっていうことが多いんですけど、今回はそれを特に感じましたね。富岡町の皆さんのいい雰囲気があって。
-いい雰囲気でしたよね。柔らかい雰囲気を感じました。
ですよね。あったかい感じがして。
すごく集中して観てくださる感じがして。一言一句ちゃんと見逃すまいとしてくれる感じが、びんびんに伝わってきて。かなりリラックスしてやれていたなっていう実感があります。
-それは素敵なことですよね。
緊張する間もなくワー!って始まったってこともあったっていうのもあると思うんですけど (笑)
だけどそれがすごくいい方向に働いたなあっていう実感があって。もちろんそれは夏目さんのおかげもありますし、みんなで作っていった空気感もとても心地がよくて…「ああ、一回で終わっちゃったな」っていう感じがありました。
-もう一回くらいやりたくなりますよね (笑)
そうそう (笑)
-私は(スタッフ席のある)後ろから見ていて、今回は段が組まれた客席じゃなかったからか、地続きで同じ空間にいる人たちっていう一体感みたいなものがあって。お客さんもいろんな年齢層の方々がいらっしゃっていて、一生懸命観ていらっしゃって…お客さんにその自覚はないかもしれませんが、一緒に空間を作り上げてくださっているような印象を受けました。俳優さんの演じている舞台上からも、それがつかみ取れる距離感だったんでしょうかね。
そうですね、いい距離だったなと思っています。
私がそもそも、こういうきゅっとした空間でやるっていうのがすごく好きで。私は上京してくる前は大分県に住んでいて、大分で芝居をしていたんですよね。そこでやってたスペースの広さと今回はとても近くて。お客さんとの距離感も懐かしかったというか。
-矢田さんにとって掴みやすい、慣れた空間だったという感じでしたか。
そうですね、ブワーって大きいところも、もちろんあれはあれで気が引き締まるんですけど。今回のようなサイズ感が「ああ、私はこの距離感が好きだな~!」って。劇場のサイズだけじゃなくて『メーフ』っていう芝居の、距離感、空間、世界の大きさの感じ方とかもすごく好きでした。
-作品自体の持っている空間性もよかった、ということでしょうか。
そうそうそう。この『メーフ』っていう作品は、和室の一室で始まる、というト書があるんですが。空想で世界は大きくはなっていくけど、行われているのはこの空間だけ、この畳何畳かの、この部屋の、和室の空間っていう距離感が、とても好きでしたね。
-ではこの『メーフ』という作品のコンパクトさも、矢田さんの中にはすごくフィットしているっていう感じだったんですね。
はい。最初にオファーいただいた時から、「こういうサイズ感の作品なんです」っていうのは伺っていたので、「ええな~!」って。
-おお、その段階から!
そうです、もう「好き~!」って (笑)
-結構楽しんでくださったんですね。よかったです、ありがとうございます。
そうですね~!
-今回、矢田さんへオファーをするまでのお話を大原さんから聞いていたんですが、矢田さんは劇団しようよの作品をいろいろ観てくださっているし、オーディションにも参加してくださったことがあるんですよね。オーディションの時や作品を観ている時と、実際に参加した時の違いってなにかありましたか?
そうですねえ…
私が大原さんたちと初めてお会いして、劇団しようよを知ったのが、全部オーディションの瞬間だったんですよね。2018年1月だったと思うんですけど。
たまたま、滞在している場所が一緒で、そのすぐ隣でオーディションするっていうのを知って。それで「私今、滞在稽古中なんですけど、ちょうどその日オフなので参加してもいいですか?」ってお願いしたら、「おお、どうぞどうぞ~!」みたいな、すごくラフに受け入れてくださって。
そうそう、今でも覚えていることが。『パフ』のオーディションだったんですけど、あのパフの歌を歌いながら、足踏みをして、回って…?なんか歌詞をリレーしながら歌うっていう…あのなんかすごい難しいやつやって (笑)
-あのシアターゲームですね (笑)
そう、「劇団員でもできない人いるくらい難しいんですよ~!」とか言われながら「ウワー!」ってなりながらやったりとか。
あとはあの、「体育座りした状態から立ち上がって、歩いて、元の場所に戻ってまた座る」っていうのを15分かけてスローモーションでやるっていうのもやりましたよ。
-あ、それはあの頃大原さんの中で特に流行っていたやつですね~!
へえ! (笑)
そういうのをやって、手応えというものはわからないまま、でもオーディション兼ワークショップ、みたいなのを楽しくやった感じがします。
で、その後、『パフ』では機会がなかったんですが、大原さんはずっと私に声をかけ続けてくれていて、「ぜひいつか」っていうことをずっと言ってくださって。それに「ぜひぜひ!」って答えて、嬉しかったんですけど…でもなんか「本当かい?」みたいな (笑)
その「本当かい?」っていうのは「いつなの?」って意味よりも、「本当に私をいいと思っているの?一体どこが?」っていう。それがとても不思議だった。
でも、私が東京に来てからもずっと観に来てくださったし、私も観に行ったし、その都度毎回「本当にいつか一緒にやりましょうね」って言ってくださっていて。「嬉しいな~!」って思っていたら、今回ついにその時が!って感じだったんですよ。
で、その稽古の一発目に、またその「ゆっくり立って歩くやつ」をやったんですよ!
-何年か越しにまた再挑戦を。
「わ、やっぱりこれなんだ!」って思いましたよね、「懐かしいやつ!」みたいな (笑)
-私はもう何年もやっていないです (笑)
ええ、そうなんですね。今回はやりましたよ!
結構ね、稽古中盤くらいかな、12月いっぱい、1月頭くらいまでは毎回稽古でやってましたね。
-数日前に稽古を初めて見て、矢田さんの所作の美しさというか、立ち姿が美しくてとても素敵だなあと思ったんです。その時に「あのゆっくり歩くやつをやったら矢田さんはすごく素敵だろうな」って思いながら見ていたんです。だから今お話聞いてすごく納得しました。
めっちゃやりましたよ~!面白いですよね。あれ、やればやるほどどんどん欲出てきません? (笑)
-わかります、ちょっと試しに何かやってみて、「違う」って怒られるっていう (笑)
そうそう、「それはしなくていい」って言われる (笑)
あ、そう、稽古で、最初すごく難しいなって思っていたのがですね、「何もしないをしてほしい」って言われたんですよ。「何かをしようとしないで、そのままで居てほしい」っていうリクエストを最初にいただいていて、それがとっても難しくて。
-ああ、そうですよね。
ちょっとこう、サービス精神だったりとか、シンプルに自分の不安でなんかやっちゃうようなことがあって。
-わかりますよ、何か動かないといけないような気がしてしまうみたいな。
そうそう、「お客さんに顔が向いていないからこっち向きにしてみようかな」とか、そういう見易い演劇的なものとか。それをもう一回全部なしにして、全部取っ払ってみよう!っていうのが、なんだかちょっと難しかったですね。
-それについて、矢田さんの中で意識的に取り組んでみたことなどありますか?
そうですね…私は、やりながら「つい」が多くて。「つい」やっちゃう、「つい」動いちゃう、とか。自分の中の不安要素で動いちゃう。それは「役」で動いてなかった、みたいな。そういう部分があったっていう反省があったりしつつ、自分は意外に「演劇の動き」に染まっていたんだなあとか思ったりして。たぶん、大原さんに「どうしようかな~」とか思われていたと思うんですよね。なんか「矢田さんやりにくそうやな」って。一番苦労しましたね。何もしないでいるけど、でも何もしないわけにはいかないしね。でもだんだんちょっとずつわかってきて、「あ、この動きは嫌な感じかも」とか、「これは大原さんライクじゃなかったな」とか。
-大原さんライク (笑)
そう、大原フェイバリット(笑)
-稽古中に言っていましたね (笑)
ノット大原フェイバリットとか (笑)
そういうのが少しずつわかってきました。
-なるほど。じゃあ、これまでの矢田さんのやってこられたお芝居の稽古とか、お芝居の表現方法として、「何もしない」っていうのを意識して突き詰める方向を選択する機会はあまりなかったのでしょうか。
そうですね、ここ最近やっていた芝居…自分の劇団のKAKUTAとか、は大体出演人数が多いんですよね。舞台上に10人以上は入れ代わり立ち代わりでいるような。サイズ感が『メーフ』とは全然違っていて、ある程度動かないと存在がわからないっていうのはあったりするかな。でもこう、主役の人とか、「この人にフォーカスを当てないと」っていう場面とかは変に目立たないようにしようっていう考えがあって、それで「何もしない」ができるとか。その話を聞いている人として居る、ことで、ある種役割として「何もしない」をするような。
ただ、『メーフ』は夏目さんと二人芝居なので、なんかこう…「何かしよう!」ってしちゃうんでしょうね、つい。それで「何かしよう」って意識的にしろ、無意識的にしろ、そう思っていてやっていたけど、それは今回は求められていなかった。でもそれはわかるというか。客観的にやっている様子を俯瞰で見てたとしても、確かに何もやらなくていいよなってなると思う。
そのチューニングに時間をもらったかなあって思います。でもそれが私はよかったというか。ゆっくり、じっくり作っていくような、考える時間がすごくよかった。
というのも、実は私は舞台をするのがとても久しぶりでして。1年位空いたんですよ。
-そうなんですか。
はい。去年の…いやもう一昨年か、一昨年の10月に本公演をやって以降舞台に立ててなかったので。
だから最初は相当緊張しました、稽古初日は。「私できるかな!?」みたいな、「演劇覚えてるかな!?」って(笑)
そんなふうに思いながら稽古に行ったんですけど、そんな部分にも寄り添っていただいて。大原さんの求める、チューニングからずれてたところも、寄り添ってもらってゆっくり作って徐々に徐々に…って感じでしたね。
-そう考えると、こういう二人芝居で、演出家と三人の稽古場を回していくってなかなか大変そうだなって勝手に思っていたんですが、とても濃密ですごく緻密に作りながら、個人個人のペースを守れるっていうのは、俳優として豊かな時間だったんだろうなあって思いました。
そうですね、それはありました。もちろん稽古時間はいろんな都合でそんなにたくさんはとれてなかったんですけど、本番に入る前の一週間、毎日ダダダって続いて続いて稽古して、っていうのが一番面白いなって思いました。どんどんどんどん、上がっていく感じ。
-本番の矢田さんの自然な立ち姿、稽古の時からギュッギュッギュ!って精度が上がってる感じがしました。わたしはずっと稽古見ていたわけじゃないですけど、数日前に最初に見たお姿と、本番で立ってらっしゃるお姿が違っていて。本番までに上がっていくスピード感がすごくってびっくりして。
うわー!ありがとうございます!
-じゃあ、矢田さんのお話もいろいろ聞いてみたいんですが…矢田さんの経歴を詳しく教えていただきたいです。最初に演劇を始めた時のことなど覚えてらっしゃいますか?
演劇の一番最初…
そうですねえ、もともとお芝居がなぜか好きで。それこそなんでしょうね、幼稚園のお遊戯とかその辺からなんか好きではあったんです。本当は高校演劇とかやりたかったんですよ。すごく。中学、高校とやりたくて。ただ、たまたまその通ってた学校が演劇部がなくて。だから憧れ続けて。
だから大学に入るときに、演劇やりたいって決めてたんです。でも、演劇の専門学校に進むと、それだけになってしまうなって悩んでいたんですよね。
私は絵も好きで、高校生の頃から本格的にやっていて、美術部に入っていて油絵を描いていたんです。それで美術短大に進んだんです。
実際、短大に進んで、絵の勉強もしながら、地域の劇団とかに入って、俳優をやろうって。そしたらどっちもできる、どっちも楽しい、やりたいことやれるじゃんって思って。
役者をする上で、美術の勉強とか絵画の勉強も絶対何かの役に立つっていう謎の確信を持ち(笑)、それで大分県の美術短大に進んで油絵をやっていたんですよね。
で、もちろん学校の課題もやりながら、学校終わったらすぐ劇団に入って俳優をやり、授業中なのに小道具を作っちゃってるみたいな学生やっていたんですけど(笑)
それが大分県の劇団水中花っていうところに入っていて。そのあと退団して、大分のまた別の劇団のトレロカモミロっていうところに入ったり…ちょっと転々としていて。結局大分に18歳から27歳くらい、9年間居て。ずーっと演劇していて。短大卒業したらアルバイトしながらずっとやってて。基本的に九州でやっていることの方が長いんですよね。その時に大原さんとも出会ったし。
-(最初に話をした)あの『パフ』の北九州でのオーディションで、ってことですもんね。
そうそう。あの年は私にとってもすごいターニングポイントだったなあって思っているんです。
北九州の大きいオーディションに受かったっていうのも初めてだったし、そこで大原さんと出会ったから今日こうやって一緒にやれていて、ご縁いただいて。2018年は私にとってはでかい年だったんです。
その2018年に北九州芸術劇場のプロデュース公演に来ていた演出家がKAKUTAの桑原さんで、それがきっかけで、KAKUTAに入団するために、入団オーディションを受けて上京するっていうのが2019年。なので今KAKUTA所属で俳優をしています。
-なるほど。じゃあ九州の中でもいろんな地域でやってらっしゃったんですね。
そうですね。私は演劇活動のメインは大分だったんですが、地元は宮崎県なんです。宮崎県にも演劇をとても活発にやっている地域がありまして。そこの宮崎の県立芸術劇場の当時のディレクターの永山さんっていう、劇団こふく劇場っていうところの方の演出助手を3回させていただいて。宮崎のプロデュース公演的なものに、九州各県の俳優さんが集まって、1、2か月ガッと稽古する、っていう場所に参加させていただいたご縁があったんです。それで九州各県にたくさんお友達ができて。毎週末どこかの県に芝居を観に行くっていうのをやってました、二十歳くらいのときに。
-すごいですね。劇団しようよはいろんな地域で創作したい、いろんな地域の人と関わりながら作りたいっていう意思があるんです。今回この富岡演劇祭に出たのもそういう意識からのことで。実際に九州や東京でも活動されていて、いろんな場所でやってらっしゃる矢田さんご自身から見たときに、矢田さんがこれまで創作されてきたことと、劇団しようよが取り組んでいるいろんな地域での創作について、なにか思うことがあれば、ぜひ教えてください。
そうですね~
演劇祭、今回この富岡町の演劇祭は初めて開催されたんですよね。
実は宮崎県でも毎年演劇祭をやっている地域がありまして。三股町っていう、ちっちゃい町があるんです。のどかな町でこの富岡町とすごく似ているところがあって。で、そこが「演劇の町」って呼ばれるくらい演劇が浸透しているところなんですよ。「まちドラ!」っていうんですけど。私はそれがとても好きで。参加したり、お客さんとして観に行ったりとか。だから自分の中の「まちドラ!」っていう演劇祭の基準があって、それと比べてみて、似てるなあって思うところいっぱいあって。
今回は、東京の俳優で作ったものを持ってくるっていうのをやりましたし、それをなかなか東京まで観に行くのは大変だろうってところに持ってきてやるっていうのはいいなあって思っているんですよね。
で、「まちドラ!」もいろんな参加団体の人たちが集まって演劇祭をやるんですが、もちろん作って持ってくるっていう人たちもいるんですけど、それとは別に劇作家だけが滞在して町の人たちと作るっていう二パターン織り交ざっているような演劇祭なんです。
で、大原さんと一緒に作った感じたんですが、大原さんって寄り添って「じゃあどうしていきましょうか」みたいな「一緒に考えます」っていう。「こうしてああして」っていうんじゃなくて「一緒に考えて作っていく」っていう感じだったので、初めて演劇やる人、今までやったことない人がやるっていう、チャレンジしてみたいなって人たちとも、きっと楽しく作品を作っていけそうだなって。大原さんだったら、みんなで楽しく作っていこうってできるんだろうなあってふと思ったことがあるんですよね。
私も大原さんが普段はどういう風にされているかは詳しく知らないですけど、小学生たちとも作ったりされていたと聞いたので、そういうのがお上手というか、楽しく作ることを心得ていらっしゃるんだなあと思いましたね。
それが私には、今回とても創作するにあたってとても居心地がよかった。
なので、いつかそんな市民の人と作るっていうのがあれば、観たいなあって思いました。
市民の方と劇団しようよで、みんなでミックスされた、マーブルな、普段俳優じゃない仕事をしている人から、大人から子どもまでって、そういうぶわーっと混ざっているようなものを作ってみられたら楽しいんじゃないかなって思います。
-いいですね、楽しそうです。大原さんも地域の方と作りたいって言っているので、今のお話、喜ぶと思います。
そうだといいな。
-そんな大原と矢田さんたちで作った『メーフ』という作品ですが、矢田さんのご感想をお聞きかせいただけませんか。
まず最初にお話しをいただいた時…これもまあ裏話みたいなものですが、『メーフ』に出てくる「おじちゃん」、これは大原さんのことですね。で、その甥っ子の「ガクくん」っていう男の子。その伯父と甥っ子の二人芝居なんですけけども。これはですね、たまたまなんですけどね、去年10月に生まれた私自身の初めての甥っ子も、同じ字で「ガク」っていうんですよ。これはね、すごい偶然だなって思って。誕生日の日付も一緒で2か月違いっていうこともわかって、びっくりしたんですけど。
-へえ、すごいですね!
それで「おお~!」ってなったっていうこともありつつ…
いろいろ台本も変わって、少し手直しされているんですが。今回のお話に、「身近な人の死」っていうのが出てくるじゃないですか。それが落ち込むというか、なんでしょうね、悲しい悲しいとか、つらいつらい、とか、そういう気持ちの方にいきやすい話であると思って。言ってしまえば、安直に上演すれば、切ない感じになっていく、っていう。そんなところを、最初からそうはしたくないっていう話が稽古場ではあったんですよね。それを努めてこう、というバランス感覚と言いますか、それがより自分の中でこの作品を通していろんなことを考えるきっかけになって。
自分がもし甥っ子とか子どもに、少しずつ大人になっていく途中の4歳とか5歳の子に、「死」というものを説明したりとか、どういう風に伝えていけるんだろう私は…って思ったりとか。
それはもちろん甥っ子のこともありますし、もし自分が将来母親になったときにどういう風に伝えたらいいのかなあとか。そういうことをぐるぐる考えたり。そういうことをより考えるきっかけになりましたね。
特にこう、福島県の被災地ツアーに行ってきて、より考えることが多かったというか。
-うんうん。
うーん、感想と言うと、最初、この話をもらったときに第一印象で「あ、この話好きだなあ」って思ったっていうのもあったんですけど、やっていくうちにどんどんもっと好きになって。
-ありがとうございます。
なんか、(夏目さんが演じる)「ガク」の無邪気さと儚さと。で、私は大原さんが演出をつけている「ほぼ大原さん役」をやるような感じなので。
-そうですよね、大原さんを代弁するような役ですもんね、今回。
そうなんです、代弁するように思っていた部分もあるんですけど。でも結局は自分の気持ちでやっている部分もあったりして。
-作品を好きって言っていただいてよかった、と思ったのと、この作品自体を愛してくださる方が演じてくださって、本当に価値のある作品になったなあと思います。
いやあ、ありがとうございます(笑)
ぜひやりたいってすぐ思いましたしね。いい時間でしたし。それにまだこれからね。東京公演もありますからね。もっともっとできると思うと。この本番を経て、もっともっと、深めていきたいなあと思います。
-ありがとうございます。では最後にですね…実はですね、今回この公演を機に、劇団しようよは本拠地・京都と仙川の2拠点で活動していきたいと考えているんです。
おお、そうなんですね。
-なので、大原さんは東京の俳優さんたちともっとたくさん出会いたいと思っているようなんです。よければ、俳優さんたちに向けて、大原さんのおすすめポイントとかこりゃあかんでポイントなど、なにかコメントをいただけませんか。
もう何回か言いましたが、大原さんはとても寄り添ってくださる方ですし、「これどうしたらいいんでしょうか」とか「これってこうなんですかねえ」みたいな、ある意味取り留めもない話でも「はぁあ!そうよな~!」って(笑)、考えてくれる感じがとてもよくて。
夏目さんと大原さんという穏やかなお二人に囲まれてとてもいい時間だったんですよ。
一緒になって考えてくれるんですよ。俳優たちと目線を同じに、3粒で考え続ける、みたいな感じで、それがよかったなあって。ずっと「ぜひぜひクリエイションしましょう」って声かけてもらっていたけど、本当にクリエイションだったなあって思います。
-ああ、「クリエイション」だった、ってすごく素敵な言葉ですね。ありがとうございます、よかった。
いや~よかったわ~って思いますよ。まだまだこれで終わりじゃないですしね! (笑)
-そうですね、これからまだまだ (笑) 本番観ながら、絶対これはもっといい作品になれると、まだまだ光るんだなあって感じましたので、引き続きよろしくお願いします。
こちらこそよろしくお願いします。
あ!そうだ、あのですね、大原さんの面白ポイントとしてですね、あの、大原さんはトイレ休憩をとてもよくとられるんですよ!
-お、これは書きましょう、絶対書きましょう (笑)
これはもしかしたら夏目さんも言うかもしれないですけど(笑)
-トイレタイムが多いって (笑)
そう、大原さんはトイレタイムを必ず挟んでくれることによってですね、休憩時間を必ずとってくれるっていう。
-リフレッシュできます!っていうね
そう、リフレッシュできますよっていう。そして必ずレッドブルかモンスターを飲んでいるっていうのも面白ポイントですね。一緒に稽古してみないと知らない面だったので(笑)
-なんだそれって感じですもんねどっちも (笑)
おすすめポイントですよこれは(笑)
-有意義な時間をありがとうございました。ゆっくりお話しできてよかったです。引き続きよろしくお願いします!
ありがとうございました!よろしくお願いいしします!